更新日: 2024年04月01日

あなたはいくつ読めますか⁉ 常磐線沿線屈指の難読市名「我孫子市」にある難読地名巡りの旅

常磐線沿線でも難読の市名として知られる「千葉県我孫子市」。
実は市名だけでなく、市内にある地名にも難読要素が隠されていました。
本記事では現地からの写真を通して、我孫子市にある難読地名を解説していきます。
(本記事は、2021年7月から「常磐線の___!|JOBANSEN KNOW」WEBサイトにて公開していたものをサイト閉鎖のため再編集の上で移植公開しています。内容は掲載当時の情報となりますのでご注意ください)

たまたま天王台駅に降り立った私は出口の看板を見て衝撃を受けました。
天王台駅南口の看板
……読めない地名がある。何やら面白そうだ。

市の名前自体も難読な「我孫子市」。もしかして他にも難読地名が潜んでいるのでは…と思い調べてみたところ、
結構ありました。
今回は我孫子市の難読地名をご紹介していきます。よろしければ皆さまも一緒に読みをお考え下さい。

①岡発戸

読めそうで読めない文字列ですね。答えは……
岡発戸バス停
「おかほっと」でした。

ちなみに近くの踏切は、
岡発戸新田踏切
「おかぼと」。複数の読みがあるのでしょうか。

調べてみたところ、
「発戸」はアイヌ語のフット(2つの丘陵の間に小川が流れ込んでいるような所)が語源と言われています。

岡発戸は「発戸」の中でも丘陵部にあったため、「岡発戸(おかほっと)」となったそうです(諸説あり)。
正式な名称は「おかほっと」なのですが、地元の方には「おかぼと」とも呼ばれているようです。

②下ヶ戸

こちらも読めそうで読めませんね。答えは……
下ヶ戸バス停
「さげと」と読みます。

語源は先ほどの「岡発戸」と同じだそうです。岡発戸よりも低い位置にあったため、「下発戸(さげほっと)」、それが転じて「さげと」となったと言われています(諸説あり)。

③中峠

これは予想がつかない読みだと思います。答えは……
中峠亀田谷公園
「なかびょう」と読みます。

「峠」と書いて「びょう」「ひょう」などと読む地名は主に千葉県に多いそうで、村境に立てる境木のことを「標(ひょう)」と読む古いことばから転じて、峠や境を意味する言葉となったという説や、地形が馬の背のようになっており、そのような地形を「峠(びょう)」と呼ぶようになったと言われています(諸説あり)。

④日秀

日秀観音通り
「ひびり」と読みます。

かつては「日出(ひいで)村」と称していました。平将門の死後、その魂が手賀沼を越えてこの地の大地に上り朝日を拝したことに由来するのだそうです。
実際にこの地域には平将門に由来する神社や井戸があります。
日秀将門神社
▲日秀将門神社
「日出」が「日秀」に変化した理由は、「ひいで」が「ひーで」と発音され「秀」を宛てたという説や、この地が元は新木村に含まれていたことから日没を意味する「日入」(ひいり)の方向の「へり」、日が落ちる縁(ひでり)と変化したなど諸説あるそうですが、最終的には語感から日秀村(ひびり)と呼ばれるようになったと考えられています。

⑤都部

いよいよ読み方がわかりません。答えは……
我孫子市都部
「いちぶ」と読みます。

ここは発戸(ほっと)村(現在の岡発戸)または芝原(しばら)村(現在の中峠)の一部であったそうです。

近世に入ってから「市部」(市場のように繁栄)や「都部」(都のように繁栄)という嘉字化(良い意味の漢字を充てること)が行われたと考えられています。

⑥江蔵地

これはわりと読めそうでしょうか……?
江蔵地通り
「えぞうち」と読むそうです。

蝦夷地から来た言葉とし、アイヌと関連付けられることもありますが、湖北にも同じ字名があり、「江」は川や沼などが陸に入り込んでいる部分を指し、地形と関連した名とも考えられています。



いかがでしたでしょうか?
難読市の千葉県我孫子市にはたくさんの難読地名が潜んでいました。そのそれぞれに特徴的な由来があり、調べれば調べるほど奥深い旅になりました。
皆さまも、地名とその由来を探す旅に出かけてみては……?

(本記事の内容は、2021年7月に作成されたものです)

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