更新日: 2024年03月21日

中央線の運転士・車掌が答える!「どうやったら電車の運転士になれるの?」

JR東日本 八王子支社豊田運輸区の運転士・車掌が皆さまの疑問にお答えします!
公式X「JR東日本鉄道イベント・グッズ担当のつぶやき【公式】@JRE_MALL」で乗務員向けに質問を募集した結果、どうやったら電車の運転士になれるの?というご質問をいただきました。豊田運輸区は中央快速線東京~大月間を乗務しており、普段は安全で安定した列車運行を心がけています。
そんな私たちが電車の運転士になるまでの道のりをお伝えします!

中央線の運転士・車掌が皆さまの疑問にお答えします!

私たちは、八王子支社豊田運輸区の運転士・車掌です。
豊田運輸区には250名ほどの乗務員が所属しており、中央快速線東京~大月間・主にE233系に乗務しています。

JRE MALLの公式X「JR東日本鉄道イベント・グッズ担当のつぶやき【公式】@JRE_MALL」にて、現役乗務員に聞きたいことを募集しました。アンケートへの回答だけでなく、コメントでもたくさんのご質問をいただき、ありがとうございました!

この記事では、いただいた質問の中から「どうやったら電車の運転士になれるの?」という疑問にお答えし、中央線で働く現役運転士が電車の運転士になるまでの道のりをご紹介します。
なお、この記事はJR東日本で働く一社員が作成したものであり、実際の状況と異なる場合があります。
個人的見解が含まれているため、参考程度にご覧ください。

【電車の運転士になるには】はじめの一歩、鉄道会社へ入社

電車の運転士になるための第一歩は、なんといっても鉄道会社に入社することです。
東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)では、グループ全体を牽引する総合職、生活ソリューション事業に特化したジョブ型、モビリティ事業を始めとして各支社の中核を担うエリア職などに形態を分けて毎年採用活動を行っています。

この中で電車の運転士・車掌になる主な採用枠はエリア職です。
なお期間は限られるものの、総合職の社員もジョブローテーションの一環で乗務員を経験することができます。
もちろん、新卒だけでなく中途採用の社員も電車の運転士・車掌を目指すことができますよ。
JR東日本の採用情報はこちら

【電車の運転士になるには】入社後、運転士の発令を受け養成開始

JR東日本に入社後、運転士として発令を受けるまでの道のりは人それぞれです。
少し前までは入社後に駅・車掌を経験したあと、社内試験を経て運転士養成に進んでいましたが、現在はこうした固定の道筋が緩和され、社員がより柔軟にキャリアプランを描けるようになりました。

さまざまなキャリアがあるなかで電車の運転士を希望した社員が、運転士の発令を受けてから単独乗務開始までには、主として「学科講習」「技能講習」「技能試験」「単独乗務教育」のプロセスがあり、配属箇所によって約10ヶ月~1年の期間を要します。

【電車の運転士になるには】まるで学校?ひたすら勉強の講習期間(1~6ヵ月目)

△JR東日本総合研修センター 出典:https://media.jrenet.jp/articles/695
▲学科講習を行うJR東日本総合研修センター
運転士の発令を受けた社員は、はじめに研修センターで約3ヶ月間の学科講習を受けます。
ここでは、電車が動く仕組みや運転のルールに加えて、鉄道を取り巻く法体系や運転する上での心構えなどを総合的に学びます。

学科試験を無事にクリアしたら、社員はそれぞれの配属箇所へ戻り、各職場で実務を学ぶ技能講習の段階に移ります。
現役運転士の先輩(社内では俗に『師匠』と呼ばれます。)とペアを組み、ここで初めて営業している本物の電車を運転することができます。
初めて運転をした日は、自分の操作で電車が動き出した瞬間の感動と、大きな鉄のかたまりを動かしているという緊張が入り混じり足が地につかない状態でした。

これらの講習をクリアすると、いよいよ免許取得に向けた技能試験です。

【電車の運転士になるには】緊張と暑さ、汗だくの技能試験(7~10ヵ月目)

△緊張の技能試験がはじまる
▲JR東日本 電車の運転士になるための技能試験
技能試験の項目は車両点検・車両故障を想定した応急処置・運転操縦があり、それぞれ速さと正確さが求められます。
試験は春または夏に行われるため、同期や講師と共に汗だくになって練習に励みます。技能試験当日の緊張感は今でも忘れられません。これまでの練習の成果を存分に発揮し、合格を言い渡されたときは思わず同期と抱き合って喜びを分かち合いました。
△車両点検の様子
▲JR東日本 電車の運転士になるための技能試験 車両点検の様子
技能試験に合格すると電車の運転士の免許を取得できます。
その後、単独乗務に向けてさらに知識と技術を磨き、安心して運転を任せられると判断されたら、いよいよ単独乗務開始となるのです。

【電車の運転士になるには】ここからが正念場、単独乗務に向けた最終確認 (10ヵ月~)

技能試験の合格発表から2ヶ月後に免許証を交付されると、法律上は1人で運転を行うことができます。
合間にある机上学習や技能試験に向けた訓練期間も含めると、ここまでですでに10ヶ月経過しています。

しかし、安全を第一とするJR東日本ではまだ1人では電車の運転はできません。

シミュレータやペーパーテストも織り交ぜながら、引き続き師匠と2人乗務をして担当する車種や線区の特徴に特化した知識、技能、そして人の命を預かる責任感を身に付けます。
豊田運輸区では主に、担当する中央快速線を走るE233系の機器配置や各種取扱い、ルールを勉強します。特に、信号・制限速度を覚えるのは運転士にとってもっとも重要かつ難易度の高い項目の1つ。

そして、師匠や指導担当の社員からGOサインをもらって見極め試験に合格をすれば、ついにJR東日本の電車の運転士となれます。次の勤務からは1人で運転を行います。昨日まで隣にいてくれた師匠ももういません。
乗務員室ってこんなに広かったっけ?なんて寂しさを感じながら、立派な電車の運転士になっていきます。

【電車の運転士になるには】日々の生活を支える運転士という仕事

△今日も安全安定運行を目指します
▲JR東日本 中央線運転士は今日も安全・安定運行を目指します
今回の記事では「どうやったら電車の運転士になれるの?」というテーマについてお答えしました。

人の命を預かる責任の重い仕事である以上、電車の運転士になるまでの道のりは決して簡単なものではありませんが、お客さまの日常を支える電車の運転士の仕事にはやりがいと誇りを感じます。
また、運転席でしか見ることのできない感動的な景色を独り占めしたり、沿線から手を振ってくれるお客さまに元気をもらったりしながら、私たちは今日も電車を運転しています。

皆さんもJR東日本で電車の運転士として、安全・安定輸送を守っていくのはいかがでしょうか。

電車の運転士とは別の道を選んだあなたも!運転士の気分をお家で味わえます

ここまで記事を読んでくださった、電車の運転士の仕事に興味がある皆さまにオススメなのが、JR東日本が手掛ける「JR東日本トレインシミュレータ」。
実際に運転士が訓練で使用しているシミュレータと同じ映像を使用しているため、とてもリアルな環境で電車の運転ができます。
中央線快速電車の高尾〜東京間(上り)も配信されていますよ!
「JR東日本トレインシミュレータ」公式HP
関連記事:「JR東日本トレインシミュレータ」で遊びたい!家庭で遊ぶための5つのSTEP

中央線の運転士・車掌が答える!他の記事もあります

こちらの記事とは別に、中央線の運転士・車掌が答える!「乗務していてテンションがあがる区間・景色・時期」について中央線の現役運転士が紹介している記事があります。
ぜひご覧ください。
中央線の運転士・車掌が答える!記事はこちら

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